● 一般短期譲渡所得税
[1] 一般の譲渡
①一般の譲渡とは、居住用3,000万特別控除・居住用定率
分離課税・居住用買換・交換等の税法上の特例に該当しない場
合をいいます。
②具体的には、店舗・貸家・アパート・貸マンション等で事業
用買換・交換等の特例を受けない場合、及び別荘等を譲渡した
場合です。
③一般譲渡は、所有期間によって長期譲渡と短期譲渡に区分さ
れます。
(イ) 一般長期譲渡所得~譲渡した年の1月1日において所有期間
が5年超
(ロ) 一般短期譲渡所得~譲渡した年の1月1日において所有期間
が5年以下
[平成21年4月1日現在法令等]
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の土地や建物を
売った時の税額の計算は以下のようになります。
1 課税短期譲渡所得金額の計算
課税長期譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
-特別控除
2 税額の計算
譲渡した場合の税額の計算は下記のように行ないます。
所得税=課税短期譲渡所得金額×30%
復興特別所得税=所得税×2.1%
住民税=課税短期譲渡所得金額×9%
平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の
基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することに
なります。
(1) 譲渡価額 土地や建物の売却代金などをいいます。
(2) 取得費 売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料
などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費設備
費などを加えた合計額をいいます。尚、建物の取得費は、所有
期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。又、土地
や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額
の5%よりも少ない時は、譲渡価額の 5%を取得費(概算取得費
)とすることが出来ます。
1 土地や建物を購入(贈与、相続又は遺贈による取得も含みます
。)した時に収めた登録免許税(登記費用も含みます)、不動産
取得税、特別土地保有税、印紙税 尚、業務の用に供される資
産の場合には、これらの税金は取得費には含まれません。
2 借主がいる土地や建物を購入する時に、借主を立退きさせる為
に支払った立退き料
3 土地の埋立てや土盛り、地均しをする為に支払った造成費用。
4 土地の測量費
5 所有権などを確保する為に要した訴訟費用
これは、例えば所有者について争いのある土地を購入した後、
紛争を解決して土地を自分のものにした場合に、それまでに支
払った訴訟費用のことをいいます。尚、相続財産である土地を
遺産分割する為に支払った訴訟費用等は取得費になりません。
6 建物付の土地を購入して、その後1年以内に建物を取り壊した
時の建物の購入代金や取り壊しの費用。
7 土地や建物を購入する為に借り入れた資金の利子の内、その土
地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の
利子。
8 既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件
を取得することとした場合に支出する違約金。
○ 取得費
①土地・建物の購入代金
②建物建築請負代金
③購入時仲介手数料
④購入時の契約書の印紙代
⑤購入時の登記費用
⑥不動産取得税
⑦特別土地保有税
⑧購入時立ち退き料
⑨土地造成費用
⑩建物取り壊し費用
⑪使用開始前の借入金利息
⑫借入金に伴う抵当権設定登記費用・保険料
⑬契約解除に伴い支出する解約違約金
⑭借地の更新料・増改築承諾料
⑮建物の増改築代金
⑯所有権を確保する為に要した訴訟費用・和解金・弁護士費用
⑰代償分割により取得した土地・建物の取得時の時価
⑱離婚の財産分与により取得した土地・建物の取得時の時価
⑲申告期限後3年以内に譲渡した場合の相続税
⑳その他、取得関連費用
※建物の取得費は購入代金等より償却費相当額を控除した金額
です。
※業務用の場合、④⑤⑥⑦⑫⑬⑯で必要経費に算入したものは取
得費より除かれます。
※更地を駐車場とする為の整地費用・アスファルト舗装等は土地
改良ではないので構築物となり、減価償却の対象となります。
(3) 譲渡費用 土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測
量費、売買契約書の印紙代、売却する時に借家人などに支払っ
た立退料、建物を取り壊して土地を売る場合の取り壊し費用な
どです。
1 土地や建物を売る為に支払った仲介手数料など
2 印紙税で売主が負担したもの。
3 家屋を売る為、借家人に家屋を明け渡してもらう時に支払う立
退き料
4 土地などを売る為にその上の建物を取り壊した時の取り壊し費
用とその建物の損失額
5 更に有利な条件で売る為に支払った違約金
これは土地などを売る契約をした後、その土地などを他へ高い
価額で売却する為、最初の契約者に支払った違約金のことです。
6 借地権を売る時に地主の承諾をもらうために支払った名義書え
換料このように、譲渡費用とは売る為に直接かかった費用をい
います。したがって、修繕費や固定資産税などその資産の特例
や管理の為にかかった費用、売った代金の取立ての為の費用な
どは譲渡費用にはなりません。
○ 譲渡費用
①売却時の仲介手数料
②売却時の契約書の印紙代
③売却時の登記費用(登録免許税、司法書士・測量士土地家屋調
査士等の手数料、分筆費用)
④譲渡の為に支払った立退料
⑤土地を売却する為に取り壊した建物の取り壊し費用
⑥売却契約締結時に更に有利な条件で他に売却する為に支出する
解約違約金
⑦譲渡の為の引き家費用⑧その他譲渡関連費用
※固定資産税、都市計画税等の維持・管理に要した費用は譲渡費
用にはなりません。
(4) 特別控除 制度の概要
土地建物を売ったときの譲渡所得の金額の計算上、特例として
特別控除が受けられる場合あります。
譲渡の種類とその特別控除額は次の通りです。
1 公共事業などの為に土地建物を売った場合の5,000万円の特別
控除の特例
2 マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除
の特例
3 特定土地区画整理事業などの為に土地を売った場合の2,000万円
の特別控除の特例
4 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円
の特別控除の特例
5 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した
場合の1,000万円の特別控除の特例
6 農地保有の合理化などの為に土地を売った場合の800万円の特別
控除の特例
注意事項 1 それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度となります。
2 特別控除額は、その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万
円が限度となります。
3 5,000万円に達するまでの特別控除額の控除は、上記の1から6
の特例の順に行います。
(措法33の4、34、34の2、34の3、35、35の2、36、措令24の4、
措通36の1)
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
[平成21年4月1日現在法令等]
自分が住んでいたマイホーム(居住用財産)を売って、一定の要
件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合より
も低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることが出来ます
。この軽減税率の特例を受けるには、次の五つの要件すべてに
当てはまることが必要です。
1 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともに
その敷地を売ること。
2 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がとも
に10年を超えていること。
3 売った年の前年及び前前年にこの特例を受けていないこと。
4 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例
など他の特例を受けていないこと。
ただし、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特
例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。
マイホームを売ったときの軽減税率
課税長期譲渡所得金額 (A) | 税 額 |
6,000万円以下 | A ×10 % |
6,000万円超 | (Aー6,000万円)×15 %+600万円 |
注意事項 課税長期譲渡所得金額とは、次の算式で求めた金額です。
課税長期譲渡所得金額 =土地建物を売った収入金額 ー
(取得費 + 譲渡費用) ー 特別控除
この特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。
確定申告の際に必要となること
1 売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書
2 マイホームを売った日から2カ月経過した後に交付を受けた除
票住民票の写し、又は住民票の写し。この除票住民票の写し、
又は住民票の写しはマイホームを売った所在地を管轄する市区
町村から交付を受けてください。
● 課税短期譲渡所得=譲渡代金 -(取得費 + 譲渡費用)
○ 短期保有物件とは譲渡した年の1月1日において、
その保有期間が
5年以下の物権をいいます。
○ 税額計算方式
[1]課税短期譲渡所得金額 ×
(所得税率 40%+住民税率 12%)
A(課税総所得金額+課税短期譲渡所得金額-500千円)
×所得税及び住民税の税率
B 課税総所得金額×所得税及び住民税の税率
[2](A-B)×110%
税額は上記により[1][2]の所得税、住民税をそれぞれ
計算し、多い金額の合計となります。
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